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今月のDARTS

Wavelet analysis of Geotail magnetic field data

サブストーム開始の前兆としてのバルーニングモード波: Geotail衛星の観測

サブストームは、地球近傍の宇宙空間全体で起こるエネルギー解放過程の一つです。 サブストームが発生すると、たとえば、夜側の極域で激しいオーロラ活動が見られます。 サブストームの発生機構は、何十年もの間、激しい論争になっています。 サブストーム発生の引き金の候補として、磁気圏尾部で励起するバルーニング不安定性が提唱され、 現在、オーロラ爆発に発展する、経度方向にビーズ状に並んだオーロラを説明するのに、 注目を集めています。しかし、バルーニング不安定性の存在は、これまであまりはっきりと示されていませんでした。

バルーニングモード波は、地球から地球半径の約10倍の距離の磁気圏尾部の磁気赤道近傍で起こり、 ある特定の周波数帯で磁力線の変形を伴うと予想されます。 齋藤ら (2008)は最近、 日本とアメリカの協力で打ち上げられたGeotail衛星による、 10年以上にもわたる磁気圏尾部のその場観測をもとに、 バルーニングモード波の特徴を持つ4例の事例を同定しました。 その波は、地球磁場のダイポール化とサブストーム開始の数分前に出現しました。 波の波長を見積もると、ビーズ状のオーロラの典型的な大きさとよく合う結果でした。

本研究により、サブストーム開始数分前に磁気圏尾部でバルーニング不安定性が発生している強い証拠が得られました。 これがどのようにして発生し、サブストーム発生にどのような役割を担っているのかを解明することは、 今後の課題です。

もう少し詳しく (宇宙プラズマグループのページ)

参考文献: Saito, M. H., Y. Miyashita, M. Fujimoto, I. Shinohara, Y. Saito, K. Liou, and T. Mukai (2008), Ballooning mode waves prior to substorm-associated dipolarizations: Geotail observations, Geophys. Res. Lett., 35, L07103, doi:10.1029/2008GL033269.

齋藤実穂 (宇宙科学研究本部、東京大学)
宮下幸長 (宇宙科学研究本部)

2008年5月

最終更新日: 2018年06月13日