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今月のDARTS

珍獣揃いの動物園

The Milky Way
図1: 天の川の写真 (credit & copyright: Serge Brunier, http://antwrp.gsfc.nasa.gov/apod/ap080104.html)

動物園では、いろいろな種類の動物の習性を知ることができます。宇宙でも同様に様々な種類の天体が集まり、多様な姿を見せてくれる場所があります。私達の銀河系の中心領域です (図1)。多くの天体が集まっているだけでなく、星の生まれる元となる低温ガスの塊があったり磁場が強い領域があったり、と特殊な環境でもあり、天体の生態を調べる格好の観察場と言えます。

中でも一番人気は中心領域のさらに中心に位置する巨大モンスターです。なんと銀河系の中心核には太陽の数百万倍もの重さのブラックホールが潜んでいるのです。しかし、実はこのブラックホールは異常におとなしく、ほとんどの時間は静かにじっとしています。現在は休眠中なのかもしれません。

この銀河系中心、残念ながら銀河面(天の川)のちりなどに遮られて可視光では本当の中心部まで見通すことはできません。しかし、電波や赤外線、X線では観測することができます (電波の観測では、奇妙な形から"ねずみ"や"へび"と名付けられた天体もあります。まさに動物園ですね)。「すざく」はこの銀河系中心領域を重要な観測対象とし、重点的に観測を行なっています。プロジェクト観測のため即時公開となり、JUDOですぐに見ることができます (図2)。これまでの主な成果を紹介します。

  1. 中心領域を満たす超高温ガス

    この領域には一億度近くの温度をもつ超高温ガスが存在します。あまりに高温のため、ガスが広がっているのではなく多くの星が集まっているのでは、という説もありました。「すざく」の観測で星の分布とは違うことが解明され、広い範囲に一様に高温ガスが分布していることが明らかになりました。とんでもない環境です。

  2. モンスターの過去を映す鏡

    銀河系中心では超高温ガスばかりか、なんと摂氏-200度以下という冷たいガスからもX線が出ています。これは低温のガスが強いX線で照らされて光っているようです。一代前の「あすか」の観測で発見され、「すざく」の観測でさらに追加されました。この天体は中心核の巨大ブラックホールが昔活発に活動していた名残と考えられています。ブラックホールから出たX線が反射し、遠回りをした分だけ遅れて私達のところに届いたのです。銀河系中心でしか見つかっていない新種の天体で、まさに珍獣と言えるでしょう。

上に紹介した以外にも多くの天体が見つかっており、続々と成果が挙げられています。あなたもぜひJUDOUDONでどんなものたちがいるか探してみてください。

The Galactic center in JUDO
図2: JUDOで銀河中心方向を拡大した様子。何回も観測され、多くの天体が写っています。

村上 弘志 (立教大学 理学部物理学科)

2009年1月

最終更新日: 2018年06月13日