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今月のDARTS

by Oyabu
「あかり」で発見された活動銀河核の一つ。 青線が、Phase3に取られた近赤外線スペクトル。 □が「あかり」全天サーベイのデータ。 △は、IRASのデータ点、+は2MASSのデータ点を示す。 実線は、近傍の星形成銀河M82のエネルギー分布モデルをスケールして示している。 これに比べPhase3の「あかり」の近赤外線スペクトルは超過を示しており、 高温の塵の存在、すなわち活動銀河核の存在を示唆している。

「あかり」全天サーベイ から新発見された天体

おかげさまで、この2009年2月22日に、赤外線天文衛星「あかり」が3歳を迎えました。時を同じくして2月16日から19日までの4日間に、東京大学で国際研究会を開催し、140人以上の参加者、そのうち約半数が外国からの「あかり」のデータを使っている研究者を迎え、お互いの成果を披露することが出来、たいへん充実した研究会となりました。「あかり」に携わったものとしては、なんとかこの日を迎えることができてただただうれしいばかりです。

さて「あかり」は何をやっている衛星かというと、数々の興味深いターゲットに指向観測も行いましたが、中間赤外線から遠赤外線の全天の地図を作るという観測を行った衛星です。これを冷媒があった最初の1年半(この期間をPhase1,2と言う。)に実行し、これらの天体カタログを世界中の天文学者への公開に向けて、現在カタログ作成の作業を進めております。それこそ25年前の赤外線衛星IRASによって作られた赤外線の地図が今現在も世界中の天文学者によって使われていることを考えると、 私たちが公開するカタログへの期待度は決して小さなものではありません。それだけに、世界中の天文学者に使ってもらおうと日々ああやこうやとアイデアを出し合ってよりいいものを作ろうとしているわけです。

もちろん世界中の天文学者にいいカタログを提供するためだけに作業を行っているのではありません。自分たちでも使うのが目的です。私たちは、実際「あかり」全天サーベイの中間赤外線源を現在の「あかり」を用いて追観測を行うプロジェクトを実行しております。私たちは「あかり」の全天サーベイの波長9ミクロンの天体に注目し、地上での観測で天体カタログが公開されている2MASS(Two Micron All Sky Suvey)の2.2ミクロンのデータと比較することで、9ミクロンが相対的に明るい天体を抽出しました。そして冷媒のなくなり冷凍機の冷却だけで現在(Phase3)稼働している機能の一つ近赤外線の分光機能を使うことで、中間赤外線源の2.5ミクロンから5ミクロンまでのスペクトルを取ることができますので、Phase3の観測プログラムの一つとしてこの超過原因を調べる観測を実行しております。

実際このような観測を行うとどのような天体が検出されるかですが、私たちの目的は、活動銀河核をくまなく探査してやることです。活動銀河核は、高温の塵を中心のブラックホールまわりに持っているために中間赤外線9ミクロンで極めて明るい天体となります。そして近・中間赤外線は、塵による吸収も受けにくいので、従来の可視光やX線での活動銀河核探査では、塵の吸収による影響が大きいために見落とされていた天体も検出できるはずだと考えました。まだ観測プルグラムは始まったばかりですが、続々と活動銀河核の検出に成功しています(図参照)。この中には、従来の探査では見つかっていなかった名もない銀河からの活動銀河核の存在を見つけることに成功しました。私たちの観測で、近傍宇宙の活動銀河核の総量を見積もり直すことができると、現在も観測を続けております。

DARTSからPhase3のデータ の観測者への配布も始まります。

大薮 進喜 ( 赤外線・サブミリ波天文学研究系/ISAS )

2009年3月

最終更新日: 2018年06月13日