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今月のDARTS

Statistical Results

図1: 地球尾部方向のプラズマ流(左)、磁場南北成分の変化量(中)、および、 全圧力の変化の割合(右)。時刻t=0は、サブストーム開始(オーロラ爆発)である。 変化量は、サブストーム開始10分前付近の値を基準にしている。座標原点は地球中心で、 X 軸の右方向は太陽・地球から離れる方向(反太陽方向)、 Y 軸の下方向は地球の夕方側に向かう方向にとってある。 座標の値は、地球から地球半径(RE)の何倍の距離かを表している。

Summary

図2: 本研究で得られた結果のまとめ。

サブストーム開始に伴う磁気圏尾部の時間発展の最新描像

サブストームは、磁気圏尾部に蓄積されたエネルギーが解放される過程です。 サブストームが発生すると、たとえば、夜側の極域で激しいオーロラ活動が見られます。 サブストームが磁気圏尾部のどのような物理現象によって引き起こされるかは、 磁気圏物理学における未解決の大問題の一つであり、何十年もの間、激しい論争になっています。

この問題の解決に向けて、宮下ら(2009)は、 Geotail、Polar、GOES衛星のプラズマ・磁場・電場等のデータを用いて、 サブストーム開始前後の磁気圏尾部全体の時間発展を統計的に調べました。 ここで、PolarやIMAGE衛星のオーロラデータによって同定された3787例ものオーロラ爆発の事例を使用しました。 今回の統計解析は、10年にも及ぶ長年のデータの蓄積(特にGeotail)があったからこそ、 成し得たものです。

図1は、この解析により得られた主な結果です。図2は、結果のまとめです。 本研究により、サブストーム開始に伴う磁気圏尾部と内部磁気圏の発展の全体像が確立しました。 特に、磁気リコネクションと磁場双極子化が2分以内のほとんど同時に起こることと、 エネルギー解放は磁気リコネクションと最初の磁場双極子化の間の領域で顕著であることが、 明らかになりました。 サブストーム発生に重要な磁気リコネクションと磁場双極子化の因果関係や両者の詳細な発生機構については、 解明すべき大問題として残されていますが、本研究で得た全体像は、 今後の複数衛星の観測データに基づく、尾部発展や各物理過程の詳細な解析をする際、 指針となる重要な結果です。

もう少し詳しく:
宇宙プラズマグループのページ
PLAINニュース

参考文献: Miyashita et al. (2009), J. Geophys. Res., doi:10.1029/2008JA013225.

※この成果は、毎日新聞の2009年3月15日付けの朝刊「理系白書」にも掲載されました。

宮下幸長 (名古屋大学 太陽地球環境研究所)

2009年4月

最終更新日: 2018年06月13日