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今月のDARTS

AKARI goto et al. 2010

「あかり」によって解き明かされる宇宙の星形成史

「あかり」衛星のデータを使った成果が、 2010年5月に論文特集号 (A&A, 2010, May) として出版されました。 今月は、この特集号の記事の中から、 宇宙の星形成史の研究(Goto et al. 2010) を紹介します。

宇宙の歴史の中でいつ頃星が生まれたのか、宇宙の星形成史を理解することは天文学の大きな目標の一つです。 特に、赤外線で観測することは、塵に隠されている星形成活動を明らかにするために重要です。 しかしながら、宇宙の星形成史の原点ともいえる、今現在(すなわち近傍宇宙)の星形成密度は、25年以上前のIRAS衛星によって 短い波長のデータのみ(100μm以下)を用いて測られた不定性の大きいものでした。 本研究ではより星形成活動を見積もるのに重要な長い波長まで(9−160μm)を網羅する「あかり」の全天サーベイデータを利用することにより、 より正確に、今現在の宇宙の星形成密度を測定しました。 また、これを同じあかり衛星によって測られた遠方宇宙の星形成密度と比較することにより、 宇宙の星形成史を現在から106億年前まで遡って明らかにしました。

図に「あかり」によって測定された宇宙の星形成史を示します。 z=0の星の点が本研究によってより精密に測定された現在の星形成密度です。 z>0(宇宙の過去)のデータ点は、同じあかり衛星の深宇宙探査のデータによります。 橙の四角は超大光度赤外線銀河(ULIRG),青の空四角は超光度赤外線 銀河(LIRG)の寄与を示しています。

あかりによって、約100億年前の宇宙では、現在の20倍以上も星形成活動が活発であったことがわかりました。 また超大光度赤外線銀河と呼ばれる赤外線で非常に明るい銀河の寄与は、約100億年前の宇宙では現在の10倍以上もあったことがわかりました。

後藤 友嗣 (ハワイ大学), June, 2010

最終更新日: 2018年06月13日