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今月のDARTS

swift and Suzaku
図は、 DARTSのJUDO による、 銀河中心付近のSwift衛星に よる硬X線写真とすざくCCDカメラの視野。 ここをクリックすると、JUDOで同じイメージを 表示することができます。 JUDOを使って、この領域のデータをさらに詳しく調べてみてください。

「硬い」X線で見た宇宙

X線は高いエネルギーを持った光(電磁波)です。 よって、X線を使って宇宙を 観測するX線天文学は、「高エネルギー天文学」と呼ばれることもあります。 X線のなかでも相対的にエネルギーの高いX線を「硬X線」、 エネルギーの低いX線を「軟X線」と呼んでいます(英語では"hard X-rays"、"soft X-rays"です)。 ただし、 その境ははっきりと決まっているわけではありませんが。 2キロ電子ボルトより高エネルギーの硬X線で宇宙を撮影したのは、 日本の「あすか」衛星が 世界で初めてです。 透過力の強い硬X線を鏡で反射させて、一点で捕まえるのは技術的にたいへん難しいのです。 その後継者の「すざく」衛星も、 2キロ電子ボルトから10キロ電子ボルト という硬X線で宇宙の撮像観測を行うことができます。 しかし、さらに高エネルギーのX線は、 すざく衛星を貫いてしまうので、それで写真を撮ることはできません。 この図の背景は、NASAのSwift衛星による、14から195キロ電子ボルトという、 すざくよりもさらに 高いエネルギーのX線による、私たちの銀河中心付近の硬X線写真です。 Swiftは「 あすか」や「すざく」とは 全く違った装置で、 それほど高いエネルギーを持つ硬X線での撮像を実現しています(ただし、あまり細かいところまでは見えません)。 ここでは、Swift衛星が撮った写真の上に、すざく衛星のCCDカメラの観測視野を重ね合わせています。 銀河中心付近にはたくさんの明るいブラックホールや中性子星が存在し、 それらは硬X線を強く放射することが知られています。 すざく衛星とSwift衛星のデータを合わせ、 それぞれの衛星の特徴を生かして広いエネルギー範囲で観測することによって、これらの天体の性質を詳しく調べることができるのです。

海老沢 研 (ISAS/JAXA)

2010年12月

最終更新日: 2018年06月13日