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今月のDARTS

HESS J1809-193, Anada et al. 2010, PASJ
「すざく」衛星によるHESS J1809-193 のX線画像(2-10 keV)。 Anada et al. 2010, PASJより転載しました。 DARTSのJUDOを使うと、この領域で、あすかとすざくの観測を重ね合わせてみることができます

「あすか」「すざく」で探る謎の天体HESSソース

天文学の醍醐味の一つは、これまでだれも知らなかった天体を見つけ、その正体を暴く事です。 最近話題の謎の天体の一つに、 「HESS未同定天体」があります。 これらは、HESS望遠鏡によって見つけられたとても高いエネルギーの宇宙線を放射する天体のうち、 他の波長ではとても暗く、その正体がよくわかっていない天体です。 アフリカのナミビアにあるHESS望遠鏡は、一兆電子ボルトを超えるガンマ線を捕らえる事のできる最新の宇宙線望遠鏡です。 現在、数十の「HESS未同定天体」が知られています。 これらの天体の正体を探るため、いろいろな波長での観測が進められています。 図は、「すざく」衛星による 「HESS未同定天体」の一つ、J1809-193の観測です。 「HESS未同定天体」の正体としては、超新星爆発の残骸が考えられています。 また、いくつかの天体は、 パルサー風星雲ではないかと考えられています。 パルサー風星雲では、パルサーによって加速された荷電粒子がその周りの超新星残骸とぶつかり、それによって衝撃波ができています。 「かにパルサー」がこのパルサー風星雲の代表格です。 さて、実際に、この図の天体の近くには、パルサーが存在し、 「あすか」衛星によって、パルサー風星雲のような広がったX線放射も見つかっていました(Bamba et al. 2003)。 今回の「すざく」の観測によって、パルサー風星雲である可能性が高くなってきました。 この観測は、 宇宙研の穴田氏の博士論文研究の一部となりました。 また、 Anada et al. (2010)に詳細な観測結果 が載っています。 「すざく」衛星や他の波長での観測によって、これらの未同定天体の正体が解明される日が近いかもしれません。いずれにしても、これらは、我々の銀河の中では、もっとも強力な宇宙線の加速源のようです。

田村 隆幸(ISAS/JAXA)

2011年2月

最終更新日: 2018年06月13日