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今月のDARTS

「すざく」による 宇宙で最大規模の運動の検出

suzaku/A2256 spectrum suzaku/A2256 spectrum
すざく衛星による銀河団((A2256)からのX線スペクトル。

上の二つの図の違いがわかりますか?

宇宙で最大の構造物は,銀河団と呼ばれる銀河の集団です。 銀河団は,X線を放射するプラズマで満たされています。 この図は,A2256と呼ばれる銀河団のプラズマからの「すざく」によるX線スペクトルです。 データが,エネルギー6.5 keV付近で盛り上がっています。 これは,鉄イオンによるX線ラインです。 このX線ラインのエネルギーを精密に測る事で,銀河団の赤方偏移, 言い換えると,我々からの後退速度がわかります。

このデータは,銀河団の中の一部(ミニ銀河団)の領域を取り出して作りました。 二つの図は,同じデータ( エラー付きクロス)を異なるモデル(実線)と比べたものです。 左の図は,ミニ銀河団の相対的な速度がマイナス1500 km/sの場合, 右の図は,相対速度が0の場合のモデルを示しています。 実際のデータは,左図のモデルに近いことがわかります。 このような解析によって,この銀河団の中でミニ銀河団が, (我々の方へ向かって)約1500 km/sの速度を持って運動しているが発見されました。 銀河団プラズマの運動を直接観測したのは,初めての事です。 銀河団のような宇宙の大規模構造は, 小さな構造が衝突と合体を繰り返して,より大きな構造を作っていくと考えられています。 今回のデータは,ミニ銀河団が大きな銀河団に衝突して,合体する前の様子を見ていると考えられます。

この結果(Tamura et al. 2011) は, 今年の秋に発行予定の,PASJ (SUZAKU/MAXI特集号)に掲載される予定です。 また,このデータは,DARTSから公開されています。 UDONを使って早見, あるいは, JUDOを使って天球面上に表示 することができます。 すざくのデータを使って,他の銀河団の運動も見つかるかもしれません。

田村 隆幸(ISAS/JAXA)

2011年6月

最終更新日: 2018年06月13日