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「ぎんが(ASTRO-C)」全天モニター装置(ASM)のデータの公開

宇宙科学研究所では、最新の衛星データを公開すると共に、すでに運用を終了した過去の衛星データの整備・公開も進めています。1987年に打ち上げられた「ぎんが(ASTRO-C)」衛星には、主観測装置である「大面積比例計数管(Large Area Counter: LAC)」とともに、「全天モニター装置(All Sky Monitor: ASM)」 が搭載されていました。LACは狭い視野で、特定の天体を詳細に観測する装置です。一方、ASMは細長い視野で広い天空を捜引観測して、天空に散らばる多くの天体の強度を定期的にモニターするとともに、X線新星等の突発的に天体が現れていないか調べる装置です。「ぎんが」衛星は、1987年の2月末からおよそ1日に1回の頻度で、LACの観測を中断し、ASMにより約20分かけて広い天空を観測しました。「ぎんが」衛星の運用が終了する1991年秋まで、およそ4.5 年にわたる、100 以上の天体の強度履歴を作ることができました。右上図は、ブラックホール候補星であるGX 339-4 の4年半の明るさの履歴を示したグラフです。およそ4.5年間(1700日間)の間に大変明るくなったり、暗くなったりしていることが記録されています。また、右下の図は1991 年お正月に出現したX線新星の明るさの履歴です。「ぎんが」衛星が、赤経11時24分、赤緯−68.3度に発見した天体という意味でGS1124-683と名付けられています。
ASMのデータは、生データの形で大阪大学・立教大学にて長期間保管されていましたが、今回、宇宙科学研究所と立教大学との 共同研究により、データを標準FITSフォーマットに変換し、公開することができました。 (2018年1月)


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最終更新日: 2018年05月07日