解像度(分解能)

カテゴリー: 観測・運用関連

天体の小さな構造をどこまで観測することができるかという性能が「解像度(分解能)」です。

解像度は望遠鏡の口径(大きさ)に比例します。
遠く離れた電波望遠鏡を合成できるVLBIでは、望遠鏡の間隔(基線)が口径となるため、高い解像度を得ることができます。

世界中の望遠鏡を合成すれば、地球の直径と同じ基線になります。スペースVLBI計画(VSOP)では、電波望遠鏡を搭載した人工衛星「はるか」を宇宙に打ち上げて、地球の直径より3倍も長い基線を実現しています。2008年現在は、VSOP-2計画が進行中です。

<解像度と口径(基線)の関係>

望遠鏡の大きさ(口径、基線)が大きいと、なぜ解像度があがるのでしょうか?

図1:大きいレンズと小さいレンズ

図1をご覧ください。天体からの電波はレンズの焦点(B・E)でちょうど波が重なり、強さが最大になります。

焦点から少しずれた点(A・C、D・F)で波の強さを調べます。これらの点は焦点から同じだけ離れています。しかしレンズの大きさによって、中心に対する波の強さは変わります。 (図1右側のグラフ)

図2:各点での波の重なり方

図2をご覧下さい。実線はレンズの上部(図1のA・D)を通った波、点線はレンズの下部(図1のC・F)を通った波を示します。
焦点(1)では山と山、谷と谷がうまく重なって波がうまく集まりますが、焦点からずれた点(2)(3)では波がずれます。
ずれはレンズが大きいほど大きくなり((2)(3))、反対に足し算した波の大きさは小さくなります。(図1右側のグラフ)

図3:ふたつの天体を見たときのレンズの大きさによる違い

これはどういうことでしょうか。これらのレンズで、少し離れた2つの天体を見てみましょう。

図3をご覧下さい。これは図1の右側と同じ、波の強さのグラフです。左側が大きいレンズ、右側が小さいレンズです。
細線はそれぞれの天体からの像、太線はそれらを足し合わせたものです。
大きいレンズ(左)では、太線でピークが2つ出るので、天体が2つあることがわかります。しかし小さいレンズ(右)では、ピークが1つになってしまい、太線(観測結果)を見ても、天体が1つか2つか区別がつきません。

つまり、大きいレンズのほうが、2つの天体を分離する能力(解像度)が高い、ということになります。

注:電波望遠鏡はほとんど凹面鏡ですが、しくみは凸レンズと同じです。