「ようこう Legacy Data Archive」リリース

「ようこう」は、1991年から2001年の、ほぼ1太陽活動サイクル(11年)にわたり観測を行いました。図に示すのは 1991年から1999年の太陽軟X線像です。太陽が極大から極小、極小から極大と移り替わってゆく様子が見て取れます。
「ようこう」は1991年に打ち上げられた日本で2番目の太陽観測衛星です。 4種の観測装置を搭載し、太陽活動極大期の太陽大気(コロナ)と、 そこで起こる太陽フレア爆発などの高エネルギー現象の高精度観測を行いました。
この度DARTSでは、これまで公開されていたデータに加え、 モンタナ大学で整備された 「ようこう Legacy Data Archive(YLA)」 を公開しました。 YLA は「ようこう」のすべての使用可能な科学データおよび情報資料を、 専門家以外の人が使用するのに便利な形式で利用可能にすることを目的とするアーカイブです。
10年以上にわたる運用を経て、衛星搭載の観測装置には、不具合が起きたり、感度が変化したり等、 いわゆる老化現象がみられます。 こうした装置の観測データを解析するには、装置の変化を補正するために、 装置の開発チームや運用チームの知識が必要となります。 また、データの解析環境は年々進歩してゆくので、 それに合わせて解析用のソフトウェアも(たとえ過去のデータしか扱わないとしても)適宜 更新してゆかねばなりません。 YLA では、衛星からダウンロードされたままのほぼ未加工のデータに加えて、 現時点で最善の補正を施したデータと、それらの解析に必要なソフトウェアを公開しています。 その他、さらに高度な加工データ(フレアカタログ、シノプティックマップ等)や 多岐に渡る文献群が収められています。 モンタナ大学では、現在もYLAの更新が行われていますが、 今回公開されたのは、その2019年時点での簡易版 (redacted version、インタラクティブな処理を含むサービスや、未完のカタログ等を省いたもの)です。 モンタナ大学からのみならず JAXA の DARTS からもデータを提供することで 消失を防ぐことができ、ユーザーからデータへのアクセス性の向上が期待できます。