宇宙線中の陽子のエネルギースペクトルデータを公開:国際宇宙ステーション搭載の高エネルギー電子・ガンマ線観測装置(CALET)による高精度観測
CALETは2015年8月に国際宇宙ステーションに設置され、6年以上の定常観測を継続しているカロリメータ型の宇宙線観測装置です。この検出器を使って、50ギガ電子ボルトから60テラ電子ボルトの宇宙線中の陽子成分のエネルギースペクトルを高精度に測定しました。これらのデータを2022年9月にDARTSより公開しました。
今回の陽子のエネルギースペクトルには、ヘリウム、炭素、酸素といった軽い原子核で一般的にみられているスペクトルの硬化に加え、10テラ電子ボルト付近でスペクトルの軟化が急激に始まっていることを示しており、今まさに活発に議論されている銀河宇宙線の加速・伝播機構のモデル検証に重要な情報を提供するものです。そのため、研究コミュニティへ速報する意義があると判断され、2022年9月1日に、国際学術雑誌Physical Review Letters誌に掲載されました。
関連リンク
- Direct Measurement of the Cosmic-Ray Helium Spectrum from 40 GeV to 250 TeV with the Calorimetric Electron Telescope on the International Space Station(英語ページ) https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.129.101102
- 宇宙線陽子スペクトルの高精度直接観測に成功 https://www.waseda.jp/top/news/83202
- CALET https://iss.jaxa.jp/kiboexp/equipment/ef/calet/
- DARTS/CALET https://darts.isas.jaxa.jp/astro/calet/
DOI: https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.130.211001