CALETによる宇宙線陽子・電子の太陽活動に伴う計数率変動のデータを公開:太陽変調の荷電依存性の様子を高精度に検出
CALETは2015年8月に国際宇宙ステーションに設置され、宇宙線の定常観測を7年以上継続しているカロリメータ型の宇宙線観測装置です。この検出器を使って、太陽活動に伴う低エネルギー銀河宇宙線の陽子・電子成分の強度変動(宇宙線の太陽変調)を高精度に測定しました。2015年10月から2021年5月における平均リジディティ3.8ギガ電子ボルトの陽子と電子の計数率のデータを、2023年6月にDARTSより公開しました。
今回得られた電子の計数率の変動率は陽子に比べて大幅に大きく、宇宙線の太陽変調における荷電依存性の様子が明らかになりました。またこれらの観測結果を太陽変調の理論モデルで再現することにも成功し、宇宙線の太陽変調にドリフト効果が重要な役割を果たしている証拠が得られました。これらを議論した論文は、研究コミュニティへ速報する意義があると判断され、2023年5月25日に、国際学術雑誌Physical Review Letters誌に掲載されました。
関連リンク
- Charge-sign dependent cosmic-ray modulation observed with the Calorimetric Electron Telescope on the International Space Station (英語ページ)
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.130.211001
DOI: https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.130.211001 - 太陽活動に伴う陽子と電子の電荷(正負)の違いに対する依存性の様子を高精度に観測することに成功
https://www.waseda.jp/top/news/90562 - CALET
https://iss.jaxa.jp/kiboexp/equipment/ef/calet/ - DARTS/CALET
https://darts.isas.jaxa.jp/missions/calet/
- Charge-sign dependent cosmic-ray modulation observed with the Calorimetric Electron Telescope on the International Space Station (英語ページ)