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SIS

SIS[*] は、 世界で初めてのX線を光子計測する CCD カメラである。 その特徴は、厚い空乏層、低い読み出しノイズ、 高い耐放射線構造である。

二つの SIS が XRT の焦点面に搭載されており、 一つのセンサーは 11 mm 角のチップ 4 枚で構成されている。 また、チップ間には大小の溝がある。 SIS0 の chip 1 (s0c1) と、SIS1 の chip3 (s1c3) をノミナルチップ(nominal chip)と呼ぶ。

SIS に関する視野の概略図を図(1.2) に載せる。


図 1.2: SIS の視野、および座標の定義

SIS は入射してきたX線光子のエネルギーに応じて、 電子雲を空乏層につくる。 Si の平均電離エネルギーが 〜3.65 eV とガス(〜30 eV) とくらべて小さいこと、ファノファクターが小さいこと(〜0.1)、 ノイズが低いことから、エネルギー分解能 2.2% ( @5.9 keV ) を達成している [*]。 この電子雲はひとつのピクセルにとどまることも あれば、二つ以上のピクセルにスプリットしてしまうこともある。 そこで、SIS では、中心の波高値が最大であるような、3x3 の ピクセルに注目して、 スプリットの仕方で 8 つのグレードに分けている。 通常の解析では、グレード 0,2,3,4 や 0 のみが一般に使われる。

SIS の動作モードは大別して二種類あり、 観測モードと診断モードである。 通常観測は観測モードである。 観測モードのまとめを表(1.1) に載せる。


表 1.1: SIS 観測モードのまとめ
 ;; 観測モード
 ;; Faint mode Bright mode Fast mode
時間分解能 4/8/16 秒 4/8/16 秒 16 ミリ秒
 ;; 1CCD/2CCD/4CCD モード (1CCD モードのみ)
イベント転送率 128/16/4 512/64/16 1024/128/32
(events/秒/S0+S1) bit rate High/Med/Low
パルス高ビット数 12 11 11
(チャンネル数) (4096) (2048) (2048)
位置ビット数 $9+9$ $9+9$ 1
 ;;  ;;  ;; (時間ビット3)
Grade判定 なし 8 通り 2 通り
 ;;  ;;  ;;  ;;

SIS 特有の問題として、ホットピクセル、エコー現象、ダークフレームエラー、 パイルアップ、CTE[*]の劣化、暗電流の増加等がある。 これらについては、ここでは省略するが理解しておくことが望ましい [*]


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WATANABE Manabu 平成12年8月10日