スティープスペクトル、フラットスペクトル

steep spectral, flat spectral
カテゴリー: 物理・天文学関連

電波を出す活動銀河の場合、以下のようなスペクトルを示すものが一般的です。

・大きな構造の天体は、スティープ(波長が短くなるほど、電波強度が落ちる)
・小さな構造の天体は、フラット(波長が短くなっても、電波強度があまり落ちない)

大きな構造の銀河は、ジェットが噴出してから長い時間がたっている銀河、小さい構造の銀河は、若い銀河、もしくは、ジェットが発達していない銀河であると考えられています。

波長の短い電波を出すプラズマガスはエネルギーが高いのです。波長が短いと、それだけ短時間でたくさん振動しなければならず、その分エネルギーがいるからです。そのようなプラズマガスはエネルギーも早く失います。
一方、波長の長い電波を出すプラズマガスは、ゆっくりと振動するので低いエネルギーで振動します。エネルギーを失うのにも長い時間がかかります。

したがって、生まれたばかりのプラズマガスは、エネルギーの高いプラズマも、低いプラズマも同じだけあります。波長が長くても短くても同じ強さの電波をだすので、フラットスペクトルを示します。
生まれてから時間がたったプラズマガスは、スティープスペクトルを示します。 波長の短い電波を出す高エネルギー電子のほうが早く減っていくために波長の短い電波の強度が下がり、波長が長くなるほど電波の強さが強くなるからです。

一般には、ジェットは、噴出し源から離れるほど年齢が古くなり、スティープスペクトルを示します。ジェットの源がある活動銀河中心核からの電波放射は、若いプラズマが多いので、フラットスペクトルを示します。

したがって、中心部からジェットが発達せず、中心核しか見えない天体は、構造が小さ く(コンパクト)、フラットスペクトルを示します。ジェットが発達していて、中心核より明るい天体は、構造が大きく、スティープスペクトルを示します。