鏡面精度

カテゴリー: 観測・運用関連

鏡面精度とは、アンテナ面のなめらかさと正確さのことです。

望遠鏡は、電磁波をアンテナ(主鏡)面で反射または屈折させ、焦点(副鏡)に集めます。電磁波を損失なく集めるためには、観測する波長の10分の1から 20分の1の鏡面精度が必要です。
従って、観測する波長が短いほど、望遠鏡に要求される鏡面精度が高くなります。

また、大きい望遠鏡は、重力の影響で形が歪んでしまいます。そのため、観測波長が短いほど、大きな望遠鏡が作りにくくなります。
望遠鏡は直径(口径)が大きいほど解像度が高く、面積が大きいほど感度が上がります。
可視光などと比べて波長が長い電波は、大きな望遠鏡が作りやすいのです。

一方で、解像度は観測波長が短いほど高くなります。電波望遠鏡を光の望遠鏡と同じ解像度にするなら、1万倍もの大きさが必要です。100m級の電波望遠鏡を作っても、やっと人間の目と同じくらいにしか見えません。
しかし干渉計の技術が開発されて、電波での観測は光よりもずっと高い解像度が得られるようになりました。

スペースVLBIのため電波天文衛星に搭載されるアンテナは、10m程度の大きさで巨大ではありません。
しかし、衛星はロケットで打ち上げるので、小さく畳んでおいて宇宙空間でアンテナを展開します。また、宇宙では自重による歪みはないものの、地上の試験では重力の影響をキャンセルしなければなりません。
そういった特殊性のため、「はるか」やASTRO-Gのアンテナ鏡面精度の調整はたいへん難しく、特別な技術が必要になります。