さきがけ

Sakigake (MS-T5)

ミッションの解説

概要

「さきがけ」(MS-T5) は、76年ぶりに回帰するハレー彗星の観測を目的とした国際協力探査計画への参加を目的とし、「すいせい」(PLANET-A) とともに、宇宙科学研究所 (ISAS) によって開発された探査機です。
「すいせい」に先駆けて、1985年1月7日に鹿児島宇宙空間観測所(現:内之浦宇宙空間観測所)から M-3SII ロケットによって打ち上げられ、ロケットの飛翔性能の確認、日本初の惑星間空間軌道の達成、太陽周回軌道に打ち上げられたときに必要な軌道の生成と決定、超遠距離における通信、姿勢制御および決定などを行いました。
また「さきがけ」自身も科学観測装置を搭載しており、1985年8月19日に打ち上げられた「すいせい」や、欧米露の探査機と共にハレー彗星の観測ミッションに参加しました。
1986年3月11日にハレー彗星に最接近し、ハレー彗星付近の太陽風磁場、プラズマ活動の観測、太陽風プラズマ波動などの観測を行い、その後も 1999年に運用を停止するまで、14年間にわたって太陽風プラズマ波動の観測を続けました。

衛星は、質量 138 kg、直径 1.4 m、高さ 0.7 m の円筒形で、上部にアンテナを備えていました。
地球の重力圏を離れ、ハレー彗星に接近する太陽周回軌道を、1周約 282日の速さで周回しました。

観測装置について

Plasma wave probe (PWP)

PWP は、30 - 195 kHz の低周波帯域 (LF) でプラズマ波を観測する装置です。この装置は、彗星のコマを通過する衝撃波によって引き起こされるプラズマ波を検出することを目的としています。
PWP の観測データからは、上昇および下降するトーンタイプの放射が多く見られ、これらは彗星のコマ内での衝撃波によるプラズマ波であると考えられています。

Interplanetary magnetic field measurement (IMF)

IMF は、3軸リングコア型センサーを用いて、惑星間空間の磁場を連続的に記録する装置です。
IMF の観測データは、彗星のイオンテールにおける擾乱の原因を解明するために使用されました。

Solar wind ion detector (SOW)

SOW は、機体のスピンを利用して、太陽風のイオンのバルク速度、プラズマの流れの方向、イオン密度、およびイオン温度をファラデーカップ型のセンサーで測定します。
この装置は、彗星に最接近する前年の間に太陽風の一般的な構造を詳細に観測しました。
SOW の観測データは、彗星のコマと太陽風の相互作用を理解するために重要な情報を提供しました。

得られた成果

「さきがけ」は、日本初の惑星間空間軌道を達成した探査機です。
その観測データから、彗星のイオンテールにおける擾乱が高速度の太陽風によって引き起こされることが示唆されました。また、彗星のコマ内でのプラズマ波の存在が確認され、これが衝撃波によって刺激される可能性があることが示されました。
これらの成果は、彗星と太陽風の相互作用に関する理解を深める重要な手がかりとなりました。

参考文献

データセット一覧

観測装置/データ ID 概要
All sakigake-raw-telemetry-data さきがけ 生テレメトリデータ(フレーム形式)
Auxiliary sakigake-orbit-data さきがけ 軌道データ
Auxiliary sakigake-orbit-1.0 さきがけ 軌道データ CCSDS跡データメッセージ (TDM) 形式
Interplanetary magnetic field measurement (IMF) sakig-c-imf-3-rdr-halley-v1.0 さきがけ ハレー彗星遭遇時 惑星間磁場データ
Interplanetary magnetic field measurement (IMF) sakigake-imf-data さきがけ 惑星間磁場(IMF)データ
Solar wind ion detector (SOW) sakig-c-sow-3-rdr-halley-v1.0 さきがけ ハレー彗星遭遇時 太陽風データ