スペースVLBIの歴史
更新:2019年9月
- 初期の議論 1984年のIAUシンポジウムにおいて、B.F. Burkeにより、
スペースVLBIについての検討
(‘コンパクトな電波天体とVLBI’)が行われました。
- QUASAT QUASATは、JPL(ジェット推進研究所)で
1980年代初期に考案されたスペースVLBI計画で、ESA(欧州宇宙機関)
/ NASA 共同のミッションとしてESAに1982年に提案されました。
その計画では、0.3、1.6、5、22 GHzの周波数帯で観測するために、
15m級のアンテナが考えられていました。
QUASAT提案はフェーズA段階まで進んでいましたが、1988年、カッシーニ計画のESA Huygens probeに敗れて中止となってしまいました。
- TDRSS 軌道上の衛星を用いたVLBIの概念は、1986年から1988年にかけて、
データ通信衛星のアンテナを用いて作られました。TDRSS衛星の直径4.9mアンテナと、
64mアンテナを持つ臼田(日本) 、
そしてキャンベラ (オーストラリア) の地上電波望遠鏡
を使って、いくつかの天体のフリンジを、
2.3 GHzと15 GHzにおいて検出することができました。
- ラジオアストロン ラジオアストロン計画は、当初1980年代半ばに提案されました。
ラジオアストロン衛星は、直径10mの固い鏡面を持つアンテナを搭載し、0.3、1.6、5、22 GHz の周波数帯で観測する予定です。
ラジオアストロンの軌道は、
近地点約5000km、
遠地点約80000kmで、高輝度温度電波天体の理想的な観測機関になる見込みです。
ラジオアストロンは、数年の間に打ち上げられる予定で、詳細は
ラジオアストロンのホームページ(英語)
で見ることができます。
- VSOP VSOP計画は1980年代初頭、日本での検討から立ち上がり、
1987年3月、宇宙科学研究所に公式の提案が行われました。
MUSES-B衛星は、1997年2月12日、宇宙科学研究所の新型ロケットである
M-Vロケットの第一号機によって打ち上げられ、その衛星は
「はるか(HALCA)」と命名されました。
詳細は、VSOP 計画のあゆみ、
VSOP 計画の目指す科学のページを参照してください。
- IVS 1989年、ESAの募集に答えて、次世代のスペースVLBIミッションである、
IVS(International VLBI Satellite=国際VLBI衛星)の提案が行われました。
IVSは20m級のアンテナを持ち、非常に広い周波数帯(4.5-8.5、15-23、42-63、86-120 GHz、或いは 218-222 GHz )において
観測を行うために計画されました。
- ARISE ARISE(Advanced Radio Interferometry between Space and Earth:宇宙空間と地球の間の
高度な電波干渉計)計画は、
JPL(ジェット推進研究所)と、NRAO(アメリカ国立電波天文台)
によって提案されました。
-
VSOP-2 ワーキング・グループが日本で形成され、「はるか」の後継機として検討が行われました。
VSOP-2 (ASTRO-G) と称されたこの計画は、2005年以降の打ち上げを目指して検討されていましたが、
2011年11月30日の宇宙開発委員会の結論を受け、終了することが決まりました。