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国際宇宙ステーション(ISS)搭載のMAXI/RBM, CALET/CHD, SEDA-AP/SDOMによる荷電粒子同時観測データ

図1: MAXI/RBM, SEDA-AP/SDOM, CALET/CHDで同時観測した荷電粒子の変動イベントの時系列データ。 100 keVからの電子に感度を持つMAXI/RBMと、MeV以上にしか感度を持たないCALET/CHDに加えて SEDA-AP/SDOMのデータが存在することでエネルギースペクトルの時間変化がよく分かる。 SDOMで短時間変動を分解しきれない短時間変動を、RBM, CHDによって確認することができている。

国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」日本実験棟船外実験プラットフォームでは多数の観測装置が、様々な科学的目的を持って稼働しています。異なる目的を持つ観測装置であっても、それらが共通の物理現象に対して観測能力を持つことは可能です。

今回、我々はISS軌道上での荷電粒子観測ができる日本の観測装置のデータに着目し、全天X線監視装置(MAXI)のRadiation Belt Monitor (RBM)、高エネルギー電子・ガンマ線望遠鏡(CALET)のCHarge Detector(CHD)、宇宙環境計測ミッション装置(SEDA-AP)のStandard DOse Monitor (SDOM)のデータをDARTSから公開しました。SEDA-APは軌道上の放射線環境の計測が目的に 含まれますが、MAXIとCALETはそれぞれX線天文学と、宇宙線物理学の観測的研究を目的としたミッションです。MAXI/RBMとCALET/CHDのカウント数データは元々科学目的には使われていないデータでしたが、それらを発掘すると同時に、もともとの研究分野の壁を超えて、これらのデータが相補的に組み合わせられることで、表1,図1に示すように強力なデータセットを構築することができました。 このように研究分野をまたがるデータを1つのデータセンターで所有するのは、多分野の衛星データをアーカイブしてきたDARTSならではのものだと言えます。

これらのデータを利用した論文は既に2件出版されています。

表1: 各観測装置の特徴
装置 時間分解能(秒) 観測エネルギー 観測期間 ミッションの主目的
MAXI/RBM 1 >100 keV(電子)
>3 Mev(陽子)
2009年8月-現在 X線天文学
SEDA-AP/SDOM 10 0.3-20 MeV (電子,7ch)
0.8-190 MeV(陽子, 15ch)
2009年8月-2018年3月 放射線環境計測
CALET/CHD 1 >1.6 MeV (電子, 2層)
>19 MeV(陽子, 2層)
2015年10月-現在 宇宙線物理学

(2020年9月)


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Last Modified: 04 September 2020